蒸発島

 朝七時、起床する。
 いつもの目覚ましの音が鳴り、眠りという唯一安らかな気持ちでいられる時の終わりを告げる。
 その後は顔を洗ったり、朝食を食べたりして目を覚ます。寝起きは一番身体が怠い。

 その後は、学校に行く八時までリビングにあるテレビでニュースを見て過ごす。
 私と年の近い子が殺人を犯す事件が増えているようだが、特に心を動かされたりはしない。自分は道を踏み外さないようにしようとか、そういったことを思うぐらいだ。
 死んでしまった子は可哀相だと思う。お婆ちゃんも、アイも、居なくなってからその存在がどんなに大きかったのかがよく分かった。
 けれどそんな感情も受験の手に掛かれば、死んでしまったもののことを考えても仕方が無い、という風に変わる。

 そんな残酷な私は、受験のことしか考えられない、考えてはいけないと思い込んでいた。

 そう、あの死人の住む島、「蒸発島」に行くまでは……。

< 3 / 59 >

この作品をシェア

pagetop