蒸発島

「意思が無いなんてことはないだろう?
 今のだって、瑠璃の意見だ。心は誰にでもある」
「意思はない。今のは昔に考え、行き着いた結果だよ」
「昔? 瑠璃がいつからここに居たのかは知らないが――怪我はまだ治らないのか?」

 瑠璃は大きな声で笑った。楽しそうにでは無く、憎そうに……。その姿がとても恐ろしく見えて、背中がぞっとした。

「ああ、可笑しい。君達は無知だね。
 もういいや、さっさと風子の所に行けばいいよ」

 そう言うなり彼女はその場から瞬間的に消えてしまった。
 いつも言いたいことだけ言って消えてしまう。本当に、卑怯な奴だ。


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