体操座りと救世主
戸上は笑って空を見上げた。
「最後の花火大会、タケがおってくれてよかった。」
「…へ、」
最後…?
「多分来年はもう、無理かな。」
戸上はそう言うと、右袖をめくった。
「!」
前見たときは、右腕は普通の肌色だった。しかし、今は緑の鱗で覆われている。
「嫌だ…。戸上が死ぬとか嫌だ…。」
「…もう覚悟はできてるよ。俺は大丈夫だから。」
「嫌だあ!」
涙が出てきた。俺よりも戸上の方がほんとは泣きたいだろう。俺が泣いたらいけないことはわかってる。
それでも涙は止まってくれない。