【仮題】鴉の箱庭

学内に響き渡る様に終業を告げる鐘が鳴った。
窓辺から外の夕陽をぼんやり眺めていた自分に同居人である柴田 充(しばた みつる)が肩を叩く。

「アキ~鐘鳴ってんよ?帰ろーよ」
「...ミツル、 ああ、悪い。ぼーっとしてた。」

こいつと暮らして約1年半。
変な考えをしてる時、いつもこいつの明るさに助けられてきた。

「早く~俺今日は夜勤だし早めに帰ってアキのシチューが食いたい!」
「おい、もう5月過ぎてんぞ 笑」
「うっせーな!今日寒いし、お口はシチューしか受け入れないの!」

なぁ、いいだろー??とせがまれ、
半ば適当にはいはいと返事をしてやれば
嬉しそうに大げさ過ぎるほどはしゃいで喜んだ。

そして、いつものように物欲しそうな顔をして見つめているミツルに
シチューの具材って全部部屋に揃ってんのかな、と思いながら


誰もいない教室でキスをした。



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