それでも、課長が好きなんです!


「穂積さん、チェックお願いします」

 作成した書類を穂積さんのもとへ持って行き声をかけると、彼は目の前のパソコンに目を向けたまま書類を受け取った。立ち去らないでいると、視線はそのままに頬づえをついた彼が「何だ、まだ何か用か」と言った。わたしは「いえ」とひと言告げ、その場をあとにした。

 もうすぐ、この残業続きの忙しい日々も終わる。
 コラボ企画が無事に終了すれば、チームで打ち上げが開かれる。
 次、運よくふたりきりになれる可能性があるのは今のところその日だけだ。

 もう一度だけ、告白してみようと思う。
 せめて、本気だってことは分かって欲しい。
 そして今度はちゃんと返事をもらうんだ。

 諦めの悪いわたしだけど、もしだめだったときは今度こそ、諦めるから。


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