Snow Love. ~大好きなキミへ~


電車を降りると、私と同じ制服に身を包んだ生徒がちらほらと顔を出す。


駅を出てから歩くこと1分。


ほら、すぐ左手側に、もう見慣れた大きな建物が姿を表した。


私は校門の前で少しだけ白色のマフラーをゆるめると、小さくひとつ息を吐く。


私の吐いた息は白く白く染まり、あっという間にふわっと消えた。


………冬は嫌いだ。大嫌い。


だって、寒いの苦手なんだもん。


それに……冬には、いい思い出がひとつもないから。


冬は、悲しい季節だから。


私は寒さに凍える体を自分でさすって温めながら、一歩一歩教室へと向かった。


< 3 / 353 >

この作品をシェア

pagetop