Snow Love. ~大好きなキミへ~


男の人の涙を見たのは初めてで、その痛々しいくらいの儚げな泣き顔に、私は目を奪われてしまう。


「お願いだから、“死ぬ”なんて簡単に言うなよ……」


そう呟いた優くん。


その顔は本当につらそうで、なぜかすごく悲しくなった。


別に悪いことをしたつもりはないんだけど、私の胸が苦しく締めつけられて罪悪感に包まれる。


「なぁ、陽乃……」

「………ん?」

「生きろよ………」


掠れた声が、私の脳に大きく届いた。


「お前は絶対、どこかで妹に必要とされてる。なくなっていい命なんて、この世にひとつもないんだよ」

「………っ」

「つらいなら、俺を頼れ。俺がお前の光になってやる」


………嬉しかった。


嬉しくて嬉しくて、胸の奥がホッとした。


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