【完】君ノート
でも…。
私はノートに言葉を紡ぐことを、拒まれた。
優くんの手が、私の手を止めた。
『もう分かった。もう十分』
……分かった?
大好きの気持ちって、こんな簡単に分かるものなの?
そんな疑問を抱きながら、うつむく優くんを見つめた。
もしかしたら、君は私の気持ちを見透かしていたのかな。
私の気持ちは迷惑だから、聞きたくなかったのかな。
だから、私が想いを伝えるのを止めたのかな。
なら、どうして。
私にピアノを弾いて。と、また言ってくれたんだろう。
大好きな優くんのために、ピアノを奏でた。
それが、終わりを告げるものとも知らず。