【完】君ノート
「俺は……」
俺はどうしたい?
なにがしたい?
「大切なこと忘れてるよな?」
涼太は優しく微笑んでそう言った。
俺は……
花音とちゃんと向き合ってなかった。
話してなかったな。
「ははっ。また忘れてた」
思わず、笑いがこぼれてしまった。
「なんだ。いい顔してんじゃん」
意味分かんねーよ。涼太。
「お前のパートナーだからな!お前のおかげで、思い出せたわ」
この気持ち、俺が伝えないとな。
花音に、気持ちを聞いてほしい。
「だめだったら、俺が慰めてやるよ!」
「いらねー」
「おまっ!ふざけんなよ!」
涼太は俺の背中をバシッと叩いた。
その拍子に俺は一歩、前にでる。
なんか、今ので全部吹っ切れた。
「あっ。涼太…。
俺さ、花音より先に、想い伝えないといけない人がいるわ」
佐倉に、花音が好きなんだって。
伝えないといけない。
俺を好きって言ってくれたあいつに、ちゃんと気持ちを伝えないと。
「ふーん?じゃ、早く行けば?」
ふっと笑う無邪気な涼太。
「おう!!行ってくるわ!!」
そうひとこと告げて、俺は走り出した。