【完】君ノート
手を洗い終えて、ハンカチで手を拭いている佐倉をまっすぐ見つめた。
「話がある」
それだけ言うと、佐倉は顔を上げ、微笑んだ。
「……分かった。
ちゃんと聞く。昨日は逃げてごめん」
俺の話の内容が分かっているのか、謝ってきた佐倉。
その言葉に、首を横に振った。
俺も、同じだから。
気持ちを伝えること、
気持ちを聞き入れることから、
逃げていた。
「佐倉から告白されたとき、嘘じゃないかって思った。
美人だし、クラスで人気だし、モテてるし…。
俺も、お前のことすげーいい奴だって思ってる…」
元気で、明るくて…
話してて楽しいし……。
「でも、俺はずっと、花音が好きなんだ」
この気持ち……消えたことはなかった。
勇気がいる言葉。
告白を断るって、こんなにも緊張するんだな。
告白した佐倉は、どれだけ勇気を出して、俺に想いを伝えてくれたんだろう。
「知ってる。三浦、分かりやすいもん」
え?
「えっ、まじ!?」
花音が好きって、バレバレなのか!?
「ふっ。あははっ!」
焦ってる俺がおかしかったのか、
突然笑い出す佐倉。
そんな佐倉とは対象的にポカーンとしてしまう。