【完】君ノート
「ほらっ!もう平気だから、先に戻って!!」
「うわっ!」
佐倉に背中をグイグイ押された。
後ろを振り返ると、佐倉はうつむいていて……。
今、どんな気持ちなんだろう。
どんな顔をしている?
「佐倉…」
「………三浦 優」
「え?」
うつむきながら、俺の名前を呼んだ佐倉。
「……優しい三浦が大好きでした!早く行きなよ。
私のこと振ったクセに、幸せにならないと、許さないんだからね!」
……佐倉。
「サンキューな」
そう言うと、佐倉はゆっくりと顔をあげた。
涙が溢れそうな顔だったけど……。
でも、いつものように明るく笑っていたんだ。
「どういたしまして。
ていうか礼言うなら幸せになってからだって。
だから、行ってこいっ!」
バンッと力強く、背中を押された。
これが女の力かよって思ったけど、
俺は振り返って、佐倉と同じように笑うことができた。
さすが、やっぱりこいつはすげーよ。
「じゃあな!」
そして、手を振って、前を向いて走りだした。