【完】君ノート








弱かった私は、また声を諦めていた。


なにもかもを、諦めていた。






お母さん。

笑うことを忘れてしまって、ごめんなさい。



沢田くん。

背中を押してくれたのに、ごめんなさい。



佐倉先輩。

また、声が戻ったら優くんの話をしようって言ったのに、ごめんなさい。



おばあちゃん。

お花を一緒にそだてることができなくて、ごめんなさい。



………。


ごめんなさい。


ごめんなさい。



優くん。



ずっと、あなたの隣にいるって約束、


守れなくて、ごめんなさい……。





本当にごめんね。


何度も、迷惑をかけて。

何度も、困らせて。


何度も、声を出すことを諦めて……。




でも……。


それでも、優くんは……


何度も、私に想いを伝えてくれたね。


優くんの言葉が、私を救ってくれた。


優くんがいたから……


また、声を出すことができた。





君に届けたい言葉は、



〝ごめんなさい〟



じゃなくて、



〝ありがとう〟。




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