My sweet lover
Lezioni12-本当の優しさって
気がつけば季節は本格的な秋を迎えていて、私がレンストランに就職してから半年が過ぎようとしていた。


あのボウリング以来、朝日さんとは全然話せていないし、メールのやりとりすらしていない。


会えない上に連絡も取ってない私は、朝日さんの気持ちだけでなく、自分の気持ちさえも不安になり始めていた。


そんな中迎えた、10月の第一週目の定休日。


オーダーメイド下着の松本さんから、下着が仕上がったと社長に連絡が入ったようで、午後から私は社長と一緒に松本さんのお店へと向かった。


「いらっしゃい」


今日も松本さんは、素敵な笑顔で出迎えてくれる。


「由梨ちゃん、早速だけど試着しようか。素敵なのに仕上がったから」


「あ、はい」


松本さんに言われるまま、フィッティングルームに入った。


松本さんが袋から下着を取り出す。


「わ、あ…」


私の目の前に、ピンク、赤、黒のそれはそれは繊細なレースが付いた、美しい形の下着が並べられた。


しかも上下セットのようだ。


「綺麗です…」


「でしょ?じゃあ、早速着てみようね。これ着方にコツがあるの」


松本さんは丁寧に、その下着の正しい身につけ方を教えてくれた。


「どう?ちょっと腕上げてみて」


私は言われるまま、腕を上げてみた。


「スムーズでしょ?」


「ホントだ。全然違和感がない」


こんなにフィットするんだったら、運動する時に着ても全然平気だな。


「せっかくだし、このまま着て帰ってもいいよ」


「あ、はい。ありがとうございます」


私は着てきたスポーツブラをカバンにしまうと、ピンクの下着の上にカットソーを着て、社長が待つフロアへと戻った。

< 197 / 380 >

この作品をシェア

pagetop