My sweet lover
それでも夏樹さんは、私の手首を押さえつけて離さない。


吐息がかかりそうなほど顔が近くて、なんだか目眩がしそうだ。


どうしちゃったの?夏樹さん。


ここ、職場なのに…。


「由梨、覚えておけ。俺は独占欲が強いんだ」


「え…?」


「嫉妬もすごい」


嫉妬?

 
やっぱりやきもち焼いてたの?


林さんはただの同僚でしょうが!


「由梨、今夜だ」


「はい?」


何?今夜って。


「今夜、お前の初めてをもらう」


「なっ」


そ、それって…。


それってもしかして…!


「覚悟するんだな…。

早めに帰るから、シャワー浴びてベッドで待っとけよ…」


突然耳元で囁かれ、思わずぎゅっと目を閉じた。


「よし、もう行っていいぞ」


夏樹さんは急に笑顔になり、やっと手首が離された。


うー、今の言い方!


またリリーちゃんの扱いだ。


「し、失礼しました」


私はガクガクする膝を引き摺って、社長室を後にした。


夏樹さんって、ヤキモチ焼きだったんだ。


そんな感じはしていたけど、あれくらいで機嫌が悪くなるとは…。


あれ?


さっき私、何て言われた?


今夜、私の初めてがどうとか。


う、うそでしょ?


ど、どうしよーーーー!!!

< 293 / 380 >

この作品をシェア

pagetop