My sweet lover
「朝日さんっ」


思わず大きな声で叫んだ。


「あ、由梨ちゃん」


ベンチに腰掛けていたのは、朝日さんだった。


また会えるなんて、すごい偶然。


「どうしたんですか?今日もサイクリングですか?」


「うん。ここすっかり気に入っちゃって、この頃よく来るんだ。

あ、良かったら座ってよ」


「はい」


そうなんだ。


朝日さん、ここによく来るんだ。


「この前はお店に来てくださって、ありがとうございました。

まさか久遠社長のお知り合いだなんて。

世間は狭いなって思いました」


私の言葉に、朝日さんが優しい瞳で綺麗に笑う。


「本当、世間は狭いね。

実は夏樹に会うのは、すごく久しぶりだったんだ」


「どれくらいぶりだったんです?」


「一年…かな」


思わず眉間にシワが寄った。


「一年、ですか」


今から半年前にあのレストランを引き継いだ社長。


友達が店をやっているなら、もっと早く会いに来るものなんじゃないのかな。


「どうしてそんなに会ってなかったんですか?」


友達なんだったら、もっと気軽に会ってもいいでしょうに。


朝日さんが手に持ったペットボトルで、自分の膝をトントンと叩きながら視線を川に向ける。


「僕と夏樹ね。

大学の頃、ありさを巡ってバトルした仲なんだ」


そう言って、朝日さんは懐かしそうにほほえんだ。
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