My sweet lover
「でもね、ありさは今でも夏樹のことを大事な友達だと思ってる。

だからこそ、アイツの店で披露宴をしたいって言ってるし。

夏樹には申し訳ないけど、そんなありさの気持ちを尊重してやりたくてね…」


なるほどね……。


大切な友達、か。


それって結構重い言葉なんだよね。


私も好きな男の人にそう言われ続けて来たから、よくわかる。


それは呪縛の言葉だよ。


それを言われるくらいなら、いっそのことこっぴどくフラれる方がまだマシ。


だって、忘れられなくなるもの……。


「ちょっと気まずい感じではあるけど、夏樹のレストランで披露宴するから、これから何かとお世話になると思う。

よろしくね、由梨ちゃん」


にっこり笑う朝日さん。


「はい。もちろんです」


披露宴の準備って何かと大変なんだよね。


私は担当した事ないからわからないけど、谷口先輩がいつもブーブー言ってるもんなあ。


「音楽関係者の客が多いから、BGMには気を遣ってしまうよ」


「そうかもですねー。
基本、お二人が好きな曲や思い出の曲を流せばいいんですよ。
どんなジャンルでも大丈夫です。
どんどん持って来てくださいね」


「うーん。
ありさは音楽にあんまり興味ないから、ほとんど僕の趣味になってしまうかなー」


「ありささん音楽聴かないんですか?」


「全く聴かないわけじゃないんだけど、あえて聴かないっていうか。
だからアイツに音楽の話をすることって、ほとんどないかも」


音楽は朝日さんの仕事なのにね。


それでもカップルって成立するんだから、世の中不思議だ。

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