嗤うケダモノ

「そんなコト…
許されるンですか…?」


こめかみを伝う汗。
皿のように見開かれたアーモンド型の目。
掠れて震える声。

荒唐無稽すぎる話に、日向は強い衝撃を受けていた。


「そだネー。
許されるワケないヨネー。」


夏の陽気でさらに胸を露出させた由仁は、相変わらずどーでも良さげ。


「ジン、しっ!
わかってるなら、もう少し声を落として。」


唇に人差し指を当てた百合が、素早く周囲に視線を走らせる。


「許されない…
だが、やらざるを得ない。
苦渋の決断というヤツだな。」


腕を組んだ樹が、ナゼか余裕ありげに口角を持ち上げる。

ナニ?この深刻そうな会話。
許されないって、ナニ?

もしや… 犯罪?

夕方のファーストフード店。

冷房が効きすぎているからか。
はたまた戦慄からか。

軽く身震いした日向は、三人の顔を見回しながら恐る恐る訊ねた。


「本当なンですか…?
次のテストで一番だったら、先生が旅行をプレゼントしてくれるなんて…」


うっは。
そりゃ許されねーわ。

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