嗤うケダモノ

「九尾のおかげで先輩は生きて、先輩のおかげで清司郎さんの時間が動き出して。
瑠璃子さんだって、もう立ち止まってはいられないだろうし。
コレ全部、千鶴子さんの予定調和なンじゃないっスか?」


「‥‥‥‥‥そーカナ。」


微かな声でポツリと呟いて、由仁は再び目を閉じる。

ほんとにそーカナ。
そーだとイイナ。

死を賭してまで願った望みが、叶えられたというのなら。

そーだとイイナ。
そーだと、信じたい。


「きっと、そだネ。
ありがと、ヒナ。」


上半身を起こした由仁は、口角を少しだけ持ち上げて日向を仰ぎ見た。

が…


(‥‥‥あれ?)


日向はもう、さっきのように笑っていなかった。
むしろ思い詰めた表情で、由仁に鋭い眼差しを向けている。

ナニコレ?
ちょっと目ェ瞑ってた間に、ナニがアリマシタカ?


「…

…先輩。」


躊躇しながら。
だが、意を決したように。
硬い表情のまま、日向は口を開いた。

ナニコレ?ナニコレ?
ヘビーな話?

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