【完】白衣とお菓子といたずらと



彼女はさっさと料理に取り掛かってしまった。


いや、本当によかったのだろうか、彼女に甘えてしまって。彼女の手際の良さを見ている分には、大丈夫だったんだろうと思うけど。


トントントンとキッチンからリズム良く響く音を聞きながら、一人悩んだ。


料理が出来るのを、ボーっと待っているだけの俺。今の俺に出来る手伝いなんて皆無に等しい。邪魔になるよりはと、このポジションに甘んじている。


ただ、1人で考える時間が出来たことで、ある疑問が浮上してきた。


それは……姉ちゃんの行動だ。


よくよく考えると、今日の姉ちゃんの行動は、まるで美沙に限らず誰かの訪問を予測したような行動なのだ。


もしかして、何か知っていた?


「いや、いや、ありえないだろ」


……って、今は1人じゃないんだから、独り言は禁止だよな。


呟いてしまった後、ハッと周りを見回した。キッチンで料理をしながら、こちらを気にしていない様子の美沙にホッと胸を撫で下ろした。


疑問を拭いきれないまま、料理の進み具合を確認しようと、キッチンのほうへと向かった。


もちろん松葉杖を一本はつきながら。


なんともまぬけな格好だろう。鏡に映っている自分の姿が目に映り、ため息が漏れてしまった。
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