【完】白衣とお菓子といたずらと
俺の担当になった以上、接点が完全に出来てしまった。


カンカンカンカンと気をつけろとでも言うように、頭の中で警笛がなっていた。


何でベッドサイドなんかでリハしてもらう事にしたんだよ俺。


惚れるなって……無理な話だろ?


気になっていた相手と、病室に2人きりになるんだから。


数日後に始まる予定のリハビリのことを考えると、緊張してしまって吐き気がした。


いい年をして、何をやっているのだろうか。




「あーあー、どうすっかなー」


大きな大きなため息が、1人の病室に響き渡った。


でも、待てよ。考えようによっていい事かもしれない。


彼女を狙っているスタッフが居るのなら、俺って一歩どころか数歩リードだろ。


少し前まで接点の無かった俺が、一気に形勢逆転できるんじゃないか?そう、プラスの方に考えるようにした。


そう思ったら、怪我した痛みなんか耐えらそうな気がした。


いや、本気にするなよ。あくまで、耐えられそうな“気がする”だけだから。
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