【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
だって、自分自身が何者かなんて聞かれても分からないから答えられない…
もしかしたら自分と同じ能力を持っているかもしれないこの男が、その答えを知っているような気がした。
だから聞き返したのだ。
期待の目でその男を見れば、大きな溜息がそこから零れ出た。
「答える気がないのか。…お前、たしか同じクラスのヤツだろ?名前は…何だ?」
「人の名前を聞く前に自分から名乗りなさいよ」
「…同じクラスなんだ。知ってんだろ?」
「知らない」
知らないから聞いているのに…。
私の返事にムッツリとした顔を見せたその男が、面倒くさそうに口を開いた。