【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
まさか…、
自分の事を名前で呼んで欲しいなんてそんな事、思ってるわけないよね?
いくら何でもそれはないか---
だって私と九門は今日、初めて話したばかり。
お昼を共にしただけで名前で呼べなんて、誰にも懐かないこの男がそんな事………、
言うわけ…、
ないよね?
「…良…牙?」
「…んッ」
でも試しに怖いもの見たさと言うのもあり、恐る恐る九門の名前を口にしてみた。
怒られるのを覚悟しながら---
………しかし、九門は怒らなかった。
あれ?
不思議に思いながらももう一度、良牙………と名前を呼べば頷かれる。
そしてまた、顎で行けと促してきた。
あの副会長と言い九門…、良牙といい---
何故みんな、名前呼びを希望してくるのだろう?