【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
今は…、
感情が高ぶってはいないから、瞳の色が紅色になってはいないだけ。
そう言おうかどうか迷っていて…、
結局、あいまいに頷くだけにした。
だって…、
どう説明したらいいか分からないし---
「そうか…。それより泣いたのか?」
私の目頭にソッと指を這わせた森里さんを見ると、いつもの厳しい顔が消え優しげな表情をしていた。
「うん…、力が出ないの」
そんな森里さんに甘えたくなって、つい本音を洩らす。