【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


軽く深呼吸しながら、夜空を見上げた。



数個の星が夜空に瞬き、私を見下ろしている。






---紅---



その言葉が私の胸を、ツキリと締め付けた。






---私は一体、何者なのだろう---



誰に問うでもなく呟くと、夜空の星が一つキラリと光った。




その星は私に何かを教えようとしているのか?




--否--


そんなわけない。



思わず自嘲気味に笑ってしまった。




こんな気持ちの時は、誰かに縋り付きたくなる。




誰か…、


私の傍にいて---




そう願ったところでこんな私の傍になんて一生、誰もいてくれるわけがない………よね。





涙が一粒…、


流れ星のように零れ落ちた---



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