【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「…お前、ちょっと立て」
「はい?」
白虎の言葉に一瞬呆けた顔をしながらも、声をかけられたその男はすぐに椅子から立ち上がった。
「お前…、デカイな」
「はぁ…、まぁクラスで後ろの方ですから。でも芹沢先輩と同じくらいですよね?」
椅子から立ち上がった男の前まできた白虎は、その男と同じ目線でジロジロと頭の天辺から足元まで見ていく。
うーん…、と唸る声を一つ零した白虎は首を傾ける。
そして納得したように軽く頷いた。