【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「蓮…」



その名前を切なげに呟けば、想いが蓋の隙間からこぼれ出し流れ出てしまう。


押さえつけようとすればする程、あふれるこの気持ちがあまりにも切なくて好きと言う想いが強くなる。




…キスなんて、してはいけなかったのだ。


そうすれば、この気持ちに気づく事なくこの学園を去る事が出来たはず。




狂おしい程に感じるこの愛しさを、私はどうすればいいのだろうか?


以前まで感じていた、隆之さんへの思いとは明らかに違うこの気持ちを---




「あい…たい……」


ポツリとこぼしたこの言葉にもやっぱり愛しさと切なさが残り、胸が苦しくてたまらなかった。


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