【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「今からか?忙しいから後にしろ」
「綾香のあの瞳の事を教えてくれ」
今は白虎の話しを聞いている暇はないと一歩足を踏み出したところで、白虎の言葉に俺の足がピタリと止まった。
「…瞳?」
「黒い瞳から紅の瞳に変化したのをこの目で見たんだ」
「…何故俺に聞く?」
「一度だけ、金獅子も瞳の色が変わったのを見た事があったから」
俺の言葉にグッと悔しげな顔を見せながら話す白虎に、ニヤリと笑った。