【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「おはよう東條さん。お目覚めはいかが?」


「悪くはないわよ?」


「そう。それはよかったわ」



にっこりと微笑む目の前の女はついさっき、校庭で私に話しかけてきた女だった。



 ~*~*~*~*~*~*~



「東條さん」


「はい?」



障害物競走で一番を取った私は、『1』と書かれた旗の前でボンヤリと三番目にスタートした生徒達を見ていた。


すると二番手の出走者で、私と同じ『1』の列に並んでいる人に後ろから話しかけられる。



悪意なく話かけてくるのは珍しくて、思わずその人を凝視してしまった。


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