【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
十章 一条製薬研究所


身体が…


痛い---




薄れていた意識が徐々に覚醒すると共に、自分の身体が冷たい床の上にいる事に気づく。


不快に眉を寄せながら、うつらうつらと瞳を開けていった。




コポコポ…という微かな音を聞きながらぼやけている視界で何となく辺りを見渡すと、殆ど白一色の無機質な部屋の中にいる事が分かる。




「…どこ?」


「やっと目が覚めたか」



私一人だけしかいないと思っていたその部屋で、私に対し話しかける男がいた事に驚き一気に意識が覚醒した。




この声は---


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