【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「………あれ?」
でも、
痛くはない---
何かに身体を包まれている感覚に違和感を感じ、瞑っていた瞳をソッと開けてみた。
私のお腹に誰かの手があった。
それは自分以外の手だ。
そして背中に感じる温かい感触。
もしかして…、と振り向いた。
「…蓮」
「いって…。…綾香、大丈夫か?」
やっぱりそこにいるのは蓮だった。
私を背後から抱きしめ、壁の激突から守ってくれたのだ。
すぐ横には心配そうに見つめてくる蓮の顔があり、こんな時だというのに一気に顔が赤くなった。