【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


あぁ、後は小さな冷蔵庫と備え付けキッチンもあるけど、これは教員室には不要なんじゃない?


そう思いながら、デスクに腰掛けている先生へと視線を向けた。



「何だ、東條か。どうした?」


「プリント五枚やってきました」



今、どうした?…って聞いたよね?


佐伯先生の言葉にムッと唇を尖らせた。



プリントをやれと言うから早く帰りたいのを我慢して教室で頑張ってやってきたのに、まさかそれを忘れていたとでもいうの?



イラッとする気持ちを抑えようと、持っていた鞄をグッと握りしめながら先生を軽く睨みつける。



睨んだところで私の前髪は顔を覆っていて、先生からわかるわけはないんだろうけど---



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