【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
これでもうお開きです…とでも言う感じで微笑んだのに佐伯先生はまだ何か言い足りないようで唇が微かに動いた。
でも躊躇しているのか声には出さずに、そのまま唇が止まる。
まだ、話しがあるの?
このまま帰ってしまおうか?
…そう思った時、力の篭った瞳を私に向けた先生の口から今度はしっかりとした声で私に問い始めた。
「…少し聞きたい事がある。東條は今、お前の母親の弟が保護者となっているが、お前の父親と母親はどうしたんだ?」
「………ッ!」
その質問に驚いた私の口は開いたまま、それ以上言葉が出なくなる。
母親の弟が保護者なんて気にならない方がおかしい……、
よね---
「東條?」
下を向き黙り込んでしまった私の様子がおかしいと思ったのか、心配そうに私の名前を呼んだ。