【完】イチョウ~あたしは幸せでした~







親父は母さんに隠れて
俺にすごく優しくしてくれる。



『無理に医者にならなくていい』



『自分の好きな事を仕事にすればいい』



そう言ってくれるのは親父と姉貴だけだ。




「分かってるよ。」




「分かってるなら言われる前にしなさい!!」




母さんの甲高い声が
痛い頭をもっと刺激する。





「ごめん。」




でも、誰も母さんに逆らえない。



逆らえば何しでかすか分かんねえ。




とにかく怒らせないことが一番なんだよ。




「アオ?」




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