声が聴きたい


どのくらいキスをしていただろう、唇がしびれに似た感覚になり、仕方なく離れると「はぁ……」と甘い声でいいながら俺の胸に倒れこむ。


ハンカチで自分の口元を拭いて「和……」と目の前にハンカチを見せれば、僅かに頭を持ち上げて顔が見えるようにしてきたので、和希の口元も拭いてやる。


また、クタンと寄りかかり腕も俺の背中に回してくる。


「ごめんな、家まで我慢できなかった、和、可愛いから」と言えば「ん……可愛く、はないけど……わたし、も、嬉しいから、いいの」と俺の喜ぶことを言ってくれる。


恥ずかしがり屋で照れ屋だが、行為自体には嫌悪はないらしく、『秀だから』と受け入れて、返してくれる。


だから、ついつい、どこででも愛情表現したくなってしまう。


「さ、今度こそ行くか」と和希の手を引いて歩き出した。


先ず箸ケースは以前の物を買ったところで、同じものを購入。


次に、一番のお気に入りの店に入る。


こういった店は、当然女性が多くてチラッチラッと見られるが気にしない、というかそういった女性とは視線が交わらないように、気を付ける。



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