声が聴きたい


それでも、9月も終わる頃には、和希は母さん達を「お父さん」「お母さん」と呼ぶようになり、少しずつ遠慮も減っていった。


笑顔も増えて、心が回復しているように思えた。


学校では、少し聴こえにくいみたいだけれど、勉強も運動も特に出来ないことはなくて、友達とも今まで通りに過ごしていた。


ただ、急に、親戚だったのが姉弟になって、板谷から佐藤に名字がかわったため、やはり、いらぬことを言う奴はいた。


『貰いっ子』とか『捨てられた子』など心ないいじめの言葉や、からかいの中で石を投げてくる奴もいた。


だから、俺と秀は全力で和希を守った。


上級生で嫌味な視線を寄越すやつとかもいたし、可愛い和希を、ここぞとばかりにいじめる女子もいた。


でも、和希も自分は、お母さんには申し訳ないと思っても、それでいろいろと言われるのは間違っていると、負けずにいた。


周りもだんだんと、苛めたりするのに飽きてきたのか、和希と俺は姉弟だと自然に受け入れられてきて、年が変わる頃にはこれが、当たり前というくらいに、自然になった。


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