鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
第2章

入学式なんか、私には関係ない。

さすがにまだ生徒は誰一人おらず、清々しい朝の匂いがする。
【白百合学園】はエスカレーター式の女子校で、進級試験は全員合格するのが当然とされているため、入学式自体そんなに意味をもっていなかった。
だから皆とくに意識していないし、その後普通にいつもと変わらない授業もする。

未来は中学から生徒会に入り、そのまま高校にあがった。
教師からはすごく評判も良く、お気に入り。
未来は今日初めて休もうと決め、職員室に向かった。

――コンコン。

「失礼します。
氷室先生はいらっしゃいますか?」

未来は職員室内を見渡す。
すると、一人の優しそうな女の先生が未来の方に来る。

「桐谷さんどうしたの?
こんなに朝早く。」

「あの、入学式ですごく申し訳ないと思っているんですが、今日体調が悪いので休みたくて……。
言えるの担任の氷室先生だけなんです。」

氷室先生というのは未来の担任で、生徒会担当でもある。
普段とは違う未来に気付いたのか、快く承諾した。

「分かったわ。
休んで、早く元気な姿見せてね。」

「………はい。
失礼しました。」

未来は本当に申し訳ない気持ちや罪悪感でいっぱいだったが、今まで出来なかったことをしたことで、ちょっとすっきりもした。
氷室先生は他の教師と比べ、生徒の話を親身になって聞いてくれ、自分に出来る限りのことをいつもしてくれた。
< 7 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop