鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「お久しぶりです、京(ミヤコ)姉様。
今日は私のために、ありがとうございます。」

来達のいる門から少し離れた場所にある大きくて綺麗な噴水。
少し高いところから、少女が水瓶を持っていて、そこから水が出ていた。

その少女の像は、どことなく未来に似ていた。

「そういえば、さっき未来さんの声しませんでした?」

「なぁにぃ?
そんなに那柚は未来に会いたいかぁ?
Ψ(`∀´#)」

「………湖都音さん、酔ってます?」

「まだ飲んでませんっ!」

来はそんな2人を見ながら、ため息をつく。

なんとなく似ている2人は、ここに来る車の中で意気投合したらしく、ずっとこんな調子だ。

「ぁ、来。
未来はたぶん噴水のとこ。
今雛森家の方に挨拶してるとこだと思うから、ここにいれば未来から来てくれるわよ。」

来は湖都音をスルーし、ライを探していた。
すると、どこからか犬の声が聞こえたかと思うと、あっという間に目の前にいた。

綺麗な毛並みに、優しげな瞳。
だけどライとは違う気がする。

「ラミ?」

何かを探すようにキョロキョロ辺りを見ながら、1人の女性が噴水の方から歩いてきた。

「ラミ?
お前のことか?」

目の前の犬はただただ尻尾を激しく振る。
< 82 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop