甘い愛で縛りつけて
◇「で、どうしますか、これ」



恭ちゃんが何かしらの傷を抱えているのは事実で、しかも、何かしらを怖がって怯えてる。
でも、一体なにに?

一番気になるのはそこだけど。

今一番に解決しなければならない問題は別にある。

桜田先生の事だ。
昨日ホテルを出る時その話題になったけれど、恭ちゃんは大丈夫って言うだけでその根拠は教えてくれないままだった。
こっちは証拠まで握られてるっていうのに、何がどう大丈夫なのか分からないけど、恭ちゃんはかなりの自信があるみたいで。

明日の17時半に保健室に来るように言った。
つまり、今日の17時半。今だ。

きっちり仕事をこなして定時で切り上げて、人妻事務員さんたちと事務室を出る。
そして、玄関で別れて保健室に向かった。

恭ちゃんがあれだけ自信たっぷりに言うって事はそれなりの理由があるからなんだろうと思いつつも、それを教えてくれないから一方の私は不安で仕方ない。

桜田先生とは、ふたりきりにならないようにって細心の注意を払って逃げ回ってるから何か言われたりはしてないけれど、見かける度にものすごい視線を送ってくるし、怒ってるのは一目瞭然で。

でもそれも当然だ。






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