甘い愛で縛りつけて


「ドアの隙間からでも撮ろうとしてたんでしょうけど、角度的に映らなかったんでしょう?」
「……そうです。その前はずっとベッドのカーテンが邪魔で……。
動画が撮れない時点で、音だけ撮るって考えに切り替えができなかったので、結局何も……」

ふたりの会話を聞いて、球技大会の時の事を思い出す。
確かに私の治療はカーテンを引いたベッド上でしていたから、考えてみればそれはベッドの下にでも隠れてない限り撮る事は不可能だ。

その後、私がドアを出ようとしたところで恭ちゃんに後ろから抱き締められてキスされた時は……確かにドアの隙間から撮ろうとしていたなら映すのは無理な角度だったかもしれない。
ドアの真ん前に立っていたのだから。

でもじゃああの時言っていた証拠は本当に嘘だって事……?

「じゃあ何にも証拠は残っていないんですね?」
「はい……」
「もし嘘だった場合は、それが分かった時点で桜田先生が保健室でしていた事を上に報告した上で、これを証拠として差し出しますからそのつもりでいてください」
「……はい」
「もちろん、これから先、実紅や僕に必要以上に関わってきた場合もそうします」

もう、はいとしか言えない桜田先生を見ながら、恭ちゃんが困り顔で微笑む。



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