甘い愛で縛りつけて
◇「それだけの理由で……?」



「恭ちゃんって、やっぱりSだよね。しかもドS……。まさか桜田先生に同情する事になるとは思わなかった」

帰り道、恭ちゃんが運転する車に揺られながら言う。

送るっていう恭ちゃんを一度断ったけれど、恭ちゃんがこの間遭った痴漢の件を持ち出してくるから、大人しく従う事にした。
私が悪いわけじゃないのに、なんで弱味みたいに持ち出されなくちゃならないんだろうと思いつつも、私の事を心配してくれているのは伝わってきたから嬉しくて。

「同情する必要なんかないだろ。桜田はあの場ではマズイと思っただろうけど、そのうち保健室から他の教室に場所を変えて同じ事繰り返すと思うけど。
バレた事はマズイと思ってても、行為自体には罪悪感とか微塵も感じてないだろうし」
「えっ、そうなの? だって生徒と関係持ってたのに……?」

個人的には、いくら交換条件で私たちの事を黙っていてもらうにしても、だからって学校としても世間から見ても完全にアウトと判断される生徒と桜田先生の事を上に報告せず黙っているなんて、罪悪感を感じていたのに……。
本人は悪いとも思ってないなんて事がありえるの?

まさか、そんな思いで見ていると、恭ちゃんは進行方向を見ながら答える。

「あの手の女は反省しないし、第一男がいないと生きていけないから。男が自分に夢中になってんのを見て初めて満足できるタイプだろ。
背徳感とかで興奮する変態タイプ」

それは恭ちゃんも人の事言えないんじゃないかなとも思いながら黙っていると、恭ちゃんが続ける。



< 240 / 336 >

この作品をシェア

pagetop