甘い愛で縛りつけて
◇「痛いか?」



チャイムを六回鳴らしたところで、インターホンがガチャっと音を立てて、「またか……」と呟くような声が聞こえた。
そして開く玄関ドア。

中から寝癖のついた髪をかきながら現れた恭ちゃんに笑顔を向けた。

「おはよう、恭ちゃん」
「なんなんだよ、おまえは……毎週毎週。俺の睡眠妨害に来てんのか」
「昨日の土曜は寝坊できたんだからいいじゃない」

恭ちゃんが迷惑だったら帰るけど、と顔色を窺うと、呆れた顔で笑われた。

「少しでも迷惑だと思ってたら居留守使ってる」

入れと促す恭ちゃんに嬉しくなって笑顔を返すと、同じような顔を返されて、そんな恭ちゃんに少しホっとする。

先週、急に離れろなんて変な事を言い出すから、追い返されたらどうしようかと不安だった。
だけど、あの日以来恭ちゃんに特に変わった事はないし、むしろあの時以外はいつも通りだ。

私への接し方も、表情も。




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