甘い愛で縛りつけて
◇「おまえに救われるのは俺だけで十分だ」



部屋に入った恭ちゃんは、私をベッドの上に叩きつけるようにして放った。
恭ちゃんはすぐに私の上に馬乗りになって……その時、初めて小さく笑った。

「田口、今頃どうなってるかな」

冷たい笑みが背筋を凍らせる。

何度かきた恭ちゃんの部屋。
その時とはあまりに違う緊張感が部屋中に張り巡らされているみたいだった。

喉を鳴らして動揺を浮かべる私を見下ろして、恭ちゃんは目を伏せて笑う。

「心配すんなよ。気絶させただけだ。
それよりもおまえを逃がさないようにする事が最優先だったから」

「あいつを痛めつけるのは後でもできる」と言った恭ちゃんが、私の頬に指をすべらせる。
冷たい指先だった。

「あんなヤツに気やすく触らせてるおまえが悪いんだろ?
言ったよな、裏切りは許さないって」

唇が震えて思うように動かせない。
喉に張り付いてしまったかのように出ない声を、恭ちゃんを見上げながら必死に出した。


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