〈短編〉記憶の果てあるのは……?〈BL〉
稜視点

嫌な予感が当たった。

弘也が病院に
運ばれたと
連絡をくれたのは
彼の姉だった。

休み時間を狙って
掛けて来たのだろう。


彼女は
切羽詰まった声で
〇〇病院に来てと言った。

どちら様ですかと
言われた時は
頭を鈍器で
撲(なぐ)られた様な
衝撃を受けた……

次に幾つかと
訊いた時
十三歳と答えた。

記憶喪失だと
直ぐに判った。

それから、
あれこれ説明した。

本当は高校なこと
担任と
ある女子生徒のせいで
いじめに合っていたこと、
そのせいで
ストレスが溜まり
記憶喪失になったこと。

これは、俺の
憶測だけど
多分間違ってない。

最後に俺達が
恋人同士
だってことを話しを
今の状態の
弘也に話しても
ダメなことと
分かってても
嘘はつけなかった……

弘也の記憶が
早く戻って欲しいと
思ってるけど、
それは同時に
嫌なことも
思い出すことになる……

思い出して欲しいけど
思い出して欲しくない。

二つの気持ちが
交差する。
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