意地っ張り

断ろうかとか色々考えたけど
結局私は正面玄関前で待っている。





私が断れないのを分かっていて
あんな強引な誘い方をする
松本はやっぱりズルイと思う。





それより私が気になるのは
2人きりかどうかだ。





2人きりは嬉しいけど
好きオーラを隠すのに
苦労しそうだから。





『行くぞ』





1人悶々と考えている
後ろから頭を小突かれた。





振り返れば、松本とその
後ろにもう1人の男性。





ニコニコしていて
子犬の印象を与える
その人物。





私が不思議そうな顔を
していると松本が紹介した。





『あーコイツ、人事部の笠井。お前知らないよな?』





「う、うん」





『さっきエレベーターで会ったら、どうしても一緒に来るって言うからさ』





「…そうなんだ」





『お邪魔しちゃってゴメンね。どうしても坂本さんと飲みたくて』




「え?私…?」





『笠井。余計なお喋りはいいから行くぞ』





松本がさっさと歩き始めた。





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