腹黒王子は誘惑中
「うぅ、せっかく早く帰れると思ったのにぃ……」


泣き言を言っても帰れるはずもなく……。



「って、わぁぁぁぁぁっ」



その途端、あたしは階段を踏み外した。


水が入ったままのバケツを手放し、目をつむった。


落ちる……!






あれ?


おそれていた衝撃は身体に襲ってこなかった。


少し遅れて、



バシャッ



と水が零れた音がした。


何があったのか把握するために、目を開く。



「えっ……と?」


なんでここにいるの!?


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