イジワルな彼の甘い罠

7.気持ちの呼び名







「で、そのまま連絡取ってない、って?」



それから数日後のある夜、私とハルミは仕事後にいつものバーで食事をしながらお酒を飲んでいた。

話題はもちろん先日の、航との一件のこと。



「だって最低でしょ!?確かに他人だけど……どうせヤったんだろとか!人を軽い女みたいに!」



先日感じた悲しい気持ちは、数日経った今となってはすっかり怒りに変わり、私は声を大きくして怒る。

一方で向かいに座るハルミは、いつも通りのペースでグラスの中のワインを飲んだ。



「あら、意外とカタいのねぇ。あんな男とズルズルとセフレ続けてるくらいだから、てっきり勢いで年下男とも……」

「ないから!ハルミまで私のことそんな目で見ないで!!」



他人事だと思って軽く言ってのけるハルミは、楽しむように笑みを見せる。

その表情にからかわれているのだと察すると、私はヤケクソと言わんばかりの勢いで、グラスの中のお酒をグイッと飲み干した。


< 113 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop