イジワルな彼の甘い罠



まぁ確かに、ムカつくし腹立たしいんだけど……このまま終わることなんて、願ってない。

ただ相変わらず知識も経験も浅い私はどうしたらいいかもわからず、その気持ちをお酒とハルミにぶつけるしか出来ない。



いじけたように口をとがらせる私に、ハルミは呆れたように笑う。



「仕方ないわねぇ、ならアタシが嫌でもきっかけ作ってあげる」

「……いつもは別れろって言うくせに」

「あらやだ、別れろとは言ってないわよ。ちゃんと付き合えないなら別れろって言ってるだけ。……逆に言えば、別れられないならちゃんと付き合えってこと」



ハルミはそう笑って、緑色のハンドバッグから赤いスマートフォンを取り出すと席を立つ。


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