イジワルな彼の甘い罠

9.望む形







『あ、もしもし早希?お見合いしてもいいって本当?よかったわ〜、あんたもようやく身を固める気になったのね!』

「まぁね。日取り、今週の日曜でいいんだっけ」

『えぇ。ほら、うちの近所に日本料亭あるじゃない?あそこで13時からだから、12時には家にいらっしゃい。あ、せめて洒落た格好してきなさいね』

「……はいはい」



受話器の向こうで声を弾ませる母と電話を終え、仕事後の街を歩くある夜。

バッグの中にスマートフォンをしまうと、私はぼんやりと頭上に光る街灯を見上げた。



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