サクラ咲く

身体とカラダ

大輔という兄がいるけれど、かのこはとにかく奥手で男の身体をまともに見たことがなかった。



父親も割と小さいうちから一緒にお風呂に入らなくなったし、大輔の身体を見たといっても小さい時の記憶でしかない。


…少し前にうっかり見てしまったときでもシルエットだったし、マジマジと見たわけじゃないからわからないことしかない。



でも。




好きな人が出来て、好きな人に抱かれたい、という感情はかのこにだってあるのだ。



でも…進めない。



いっそのこと、強引に勝手に奪ってくれたらいいのにとすら思う。


考えられなくしてくれたら、楽なのに。



如月から帰宅のメールがきて、更にソワソワする。


美那が言っていた。


本当に好きかどうかがわかる、と。

自分を欲してくれているかどうかでわかるのだ、と。


あの日、その後も美那はうちにいたが大輔といちゃつくことなく、帰って行った。


アドバイスにはならないかも、と笑いながら。


だって、結局は生き物としての本能だから。


セックス、っていうからなんか特別感あるけど、動物にとっての【交尾】なんだから、本能でわかるよ、と何やら難しい事を言うのだ。



如月が本能でかのこを欲する…考えただけで頭がおかしくなりそうだ。



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