サクラ咲く

食った食われた。

「このまま…抱きたいのはヤマヤマなんだが。」


貪るようなキスを繰り返していた時に、不意に如月がそう言った。



「ここだとさ、大輔が帰ってくるだろ?」



…あ。



そうだった。


「俺のとこ、来いよ。それなら気にすることないし。かのこの全部愛してやれる。」



…またまたクサいこと言うし!
恥ずかしいの通り越して泣きそうになるでしょ!


ひたすらコクコクと頷いて立ち上がる如月の手を掴む。



「じゃ、帰ろう。」



手をつないでうちを出た。









「お兄さんって昔からああなの?大輔は知ってる?」


不意に疑問を口にする。

あー、と頭を掻き言い難そうに顔をしかめる。


「大輔は知らないだろ、多分。兄貴が男の姿の時しか会ってないから。
ここ2〜3年なんだよ、アレ。益々酷くなる一方だし、性同一性障害?らしくて。


親父もおふくろも、兄貴はどんな姿でも兄貴だからって好きにしたらいいって感じなんだよ。


俺はいい迷惑だけどな。

かのこに嫌な思いさせた。」



首を横に振る。


お兄さんのおかげで、はっきりと気持ちを伝える事ができたのだから。


いいきっかけになった。


< 47 / 67 >

この作品をシェア

pagetop